会長あいさつ

会長からのご挨拶

日本家庭科教育学会 会長 工藤由貴子(和洋女子大学)

 2023年7月1日に開催された第66回日本家庭科教育学会総会において新体制の理事会が発足しました。会長に就任することになった工藤です。責任の重大さを痛感しております。これからの2年間、副会長、常任理事、理事、そして事務局のみなさんと力を合わせて学会の運営にあたってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日、750余名の会員を擁する組織として、家庭科の理論研究および実践研究、機関誌の発行、大会、例会、セミナー等の活動を通じて、本学会の目的である「研究推進、会員相互の親睦、向上」を行っています。また、海外の関連学会とも連携し、会員の研究活動を支援し、世界の家庭科教育の向上に貢献しています。小中高等学校のすべての段階に男女共修必履修教科としておかれ、生活を包括的・総合的に扱う日本の家庭科は、世界の中で特別の位置を占めています。日本家庭科教育学会では、この日本の家庭科の力を、研究・教育活動を通してこれからも広く発信してまいります。

 今、私たちの社会は大きく動いています。持続可能な社会の構築、AIとの共存、ポストコロナの安全・安心な社会の構築、2023年ジェンダーギャップ指数125位脱却まで、実に様々な課題を前に、新しい社会づくりが急がれています。こんな時だからこそ、一足飛びに社会のウェルビーイングへと向かうのでなく、じっくり落ち着いて人間のウェルビーイングを追求することが大事です。持続可能な社会の構築は、持続可能なライフスタイルを身につけた人間が、日々の暮らしの中で人やモノとの新しい関係性をつくっていくことなくして実現できません。ポストコロナの新しい社会への道のりも、安全・安心を求める人間の行動と経験をエビデンスとするところから始まります。ジェンダーギャップ指数125位脱却への一歩さえ、仕事も家庭もケアも引き受けられる生活力のある人間の登場から始まるのだと思います。

 社会変革を担う子どもたちを育てる、という教育全体の潮流の中で家庭科が力を発揮するために、子どもたちのウェルビーイングを追求する家庭科の本質を探究する研究・実践を広げていきたいと思います。子どもたちがじっくり自分の生活と向き合い、創造的で楽しい生活をつくり、それをまわりにも広げていき、それを通して社会を変えるという家庭科の方法論を意識した授業づくり、「よりよい生活に向かう」家庭科教育の実践を積み重ね、エビデンスをつくり、人間の最善の利益、幸福の保障、人間の主体性、自発性、多様性が尊重される生活の実現に向かって力を合わせてまいりましょう。

 本学会が、この変化の大きい、先を見通しにくい時代に育つ子どもたちの生き生きと伸びていく力を応援し、それを育てる先生方を応援し、そして家庭科教育のより一層の充実、エンパワメントに向かってたくさんの対話がうまれる場になることを願っています。会員の皆様からの率直なご意見や積極的なご提案を期待しております。

2023年度 学会活動方針ならびに事業計画

【活動方針】

  1. 研究活動の充実と公開
  2. 家庭科をめぐる諸問題への対応
  3. 学会組織の円滑な運営

【事業計画(活動方針との関係)】

  1. 大会・例会の開催(Ⅰ,Ⅱ)
  2. 学会誌等刊行物の発行(Ⅰ,Ⅱ)
  3. 家庭科の理論研究および実践研究の推進(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)
  4. 研究の奨励および研究業績の表彰(Ⅰ)
  5. 内外の関連学協会との連携および協力(Ⅰ,Ⅱ)
  6. 学会活動の目的を達成するために必要な事業(Ⅲ)

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